「木に学べ」法隆寺・薬師寺の美 
  薬師寺宮大工棟梁 西岡常一著を読んだ

数年前、まだ前の会社に在籍していた頃に、
経済雑誌で経営者が推薦していて数冊購入した内の一冊。

数年の熟成を経て、昨日読んだ。

著者 西岡常一氏
 1908年、奈良県生まれ。祖父を師に大工見習い、棟梁としての心得、
 口伝を伝授され、法隆寺金堂、法輪寺三重塔、薬師寺金堂や西塔などの
 復元を果たした最後の宮大工棟梁。文化財保存技術者、文化功労者。
 1995年4月、死去。享年86。

様々な要素が入っていて大変有意義であった。

目次をひろうと
第一章 千三百年のヒノキ
第二章 道具を遣う心
第三章 法隆寺の木
第四章 薬師寺再建
第五章 宮大工の生活
第六章 棟梁の言い分
第七章 宮大工の心構えと口伝

古来の日本建築に絡み、法隆寺、薬師寺を対象に棟梁が話した内容が本になっているので、
木の話、道具の話、工法の話が中心になっている。

経営者が推薦していたので当然であるが、
棟梁が話している内容は、日本の社会や企業、その経営者に対して、
さらに職種を超えた技術に携わる者に、
また一人の日本人、子を持つ親に対して話していると置き換えられる内容。

【「人は仕事をしているときが美しい」言いますな。それは、人の動きや心に無駄が
 ないからです。建造物も同じですな。機能美というんでしょうな、こういう美しさを。
 飛鳥の建造物にはこうした機能を第一とした美しさがありますな。】
【飛鳥の工人たちはバランスちゅうもんを大事に考えとったんですな。中略
 一本一本が木の個性に合わせて仕上られていますから、一つとして同じものはあり
 ません。強い木は強く、弱い木は弱いなりにうまく木の質を見抜き、それぞれを使
 える所に使っています。
  今のようになんでも規格に合わせて、同じようにしてしまうのは、決していいこと
 ではないですな。人も木も大自然の中で育てられていますのや。
  それぞれの個性を活かしてやらなくちゃいけませんな。そのためには、個性を見抜
 いて、のばしてやる。
  そういうことが忘れられてますな。】
などなど・・・・

昔の建築の凄さとか、知識になることも多く話されていて勉強になった。

自分の浅学をさらすことになるが、
私は五重塔が何のためのものか知らなかったし、
法隆寺や薬師寺の塔や堂が過去の地震で倒れなかったと言うことも知らなかった。

それこそ「釈迦に説法」であろうが五重塔とは、

【これは塔婆なんです。われわれ俗人も、人が亡くなると木製の塔婆をたてますな。
 あれと同じです。お釈迦さまの舎利(仏陀の遺骨のこと)を埋めて、その上にたて
 た塔婆が五重塔なんですな。】

古い時代の五重塔は心柱の礎石の舎利孔に仏舎利が納めてあるそうだ。

「お釈迦様」つながりで変なことを思い出した。

前の会社で製造課長だったころ、
どうしても理不尽だと思ったあことがあり、
恐れ多くも?その時の社長に物申してしまったことがあった。

その時の社長の答えは、

「釈迦に説法だ」???と言われ唖然としたのだった!

その理不尽は解消されずに終わった・・・・・・