昨日は大型の機械で生産されているものを、
小型の機械で生産する、いわゆるダウンサイズについてアドバイスをした。

前の会社で立ち上げた、
NISSAN GTRのGR6型トランスミッション向け、
クラッチハウジング、フライホイールハウジングやFF用ケーストランスは、
以前であれば1650t、2250tで生産されるサイズ。

NISSANのGTRのその頃のうたい文句「技術の粋を結集した」にあるように、
形状・設計上の制約や要求品質もそれに沿ったものであった。

受注を目指し、当時の最新でフルスペックの800tの導入を前提に、
ダイカストマシンメーカーに製品サイズなどを提示し、800tでの生産の可否の検討を依頼。

結論は800tでは「不可能」との見解だった。

当時は、従来の延長線上で仕事を続けてもジリ貧になることを予想するのは容易で、
何かチャレンジしなければと日々考えていた。

その中の一つがダイカストマシンのダウンサイズ!
それまでに蓄積した技術やノウハウを駆使して最新のフルスペックの機械を使い、
機械の性能をフルに活用して、
大型機械=高価な機械で生産されている製品を、
小さい機械=安価な機械=ドライサイクルが短い機械で生産、価格競争力をつける。

ダイカストマシンの価格は800tを超えるクラスになると一気に跳ね上がる。

1250t、1650tさらに2250tで生産されているものを、
800tで生産できれば、設備投資型の業種にとっては有効な手立てになること、
加えてサイクルタイム短縮による生産性向上のメリットも得られる。

そんなことはダイカストに関わる誰もが分かっていること・・・。
でも「どうしてやっていないのか?」と考えた結論は、
機械メーカーも「不可能」と言っている、既存の理論上では「困難」なことは明白である。

しかし一番の要素はプロジェクトを進めて「失敗した時の責任」だと気付いた。

会社が大きくなるほど「失敗したときの責任」に対して敏感。
「二の足を踏み」「躊躇」しているためにチャレンジされていないと判断した。

「失敗した時の責任」の問題がある上に機械メーカーの「不可能」との見解があるなかで、
リスクを取って挑戦し成功すればチャンスがあると・・・。

社内では800tを購入すること自体にはそれほど反対は無かったが、
「フルスペックは高額で、顧客でも必要がないと判断して付帯させていないから必要はない」
と営業担当幹部が言った。

この発言を聞いて、
「だからこそフルスペック」「だからこそ一足先にやる価値はある」
ことが証明された気持ちになり導入を決意し機械を発注!

ただ受注に関しては機械メーカーが「不可能」と言うだけあって、
お客さんに納得していただくのに時間が掛かったのは言うまでも無い。
それまでの常識、計算上ではできないと言われているのだから・・・。

でも今は、ダウンサイズはあたり前に検討され実施されているので、
そのことのアドバンテージはそれほど大きなものではなくっなっているが、
現在でも800tだけは稼働率が高いと聞いている。

目論見どおり上手くいったのは周りに恵まれたから!

私の話を信じてくれ発注していただいたお客さん。
無理な納期を達成してくれた機械商社さんと機械メーカーさん。
困難な設計と納期を達成してくれた金型メーカーさんなどなど数えきれない!
あらためて御礼、感謝!!

現在のお客さんのダウンサイズをサポートすることで恩返し!

また『変に謙遜した自慢』をしてしまったか・・・。
ポリポリ